名著を読む「人月の神話」

名著を読む

システム開発にまつわる著書を読み込んでいた時期がありました。その中で、名著と思われるもの、名著と呼ばれているものを紹介していきたいと思います。
まずは、第1段として、この分野の名著といえば、これでは?という本を紹介します。

人月の神話

著者:フレデリック・ブルックス
初版:1975年

初版が発行されたのは1975年です。もう40年以上も前に書かれた本ですが、今日でも通用する内容となっています。もちろんシステム開発に関する技法や理論、開発言語やOS、DB、各種開発フレームワークは、40年もの歳月を経過して、大幅な進歩を遂げています。その進歩にあわせてシステムに求められるものが高度化していることから、今、読んでも「なるほど」と思われるところがあります。この本で述べられている本質的なところは、いまだに変わっていないと思われます。

私の手元にある版では、19章構成となっており、一つの章が20ページ前後で、それぞれの章で完結しています。一つの章を読むのにはそこまで多くの時間を費やさないと思われますので、通勤や出張などの移動中にも読みやすい構成となっています。

これは!と思った名言

女性がどれほどたくさん動員されたところで、子ども一人が生まれてくるまで十月十日かかることに変わりはない

「第2章 人月の神話」より

例えば、1月あたり10人月で1年かかるという見込みのプロジェクトであれば、120人月を1ヶ月で投入すれば終わる。ということは、普通に考えるとあり得ないです。引用した妊婦の例と同じよう、どのような手段をとっても、短縮は不可能なものがあります。これは極端な例ですが、意図的なのか天然なのかわからないですが、このようなことを要求してくるユーザーやマネージャーがいるのも事実です。

ユーザーが要求してくる分にはお客様ですから構いません。お客様には実現をしたい要件があり、投資可能な金額にも上限があり、投資効果をあげるにはできる限り早く納品して欲しいのは当たり前です。丁寧に説明をして、お客様にご理解していただき、実現可能な現実的なスケジュールや要件に収めていくのは技術者の仕事です。が、しかし、技術者集団である社内の上位マネージャーから、同様の要求がくることがあります。中には、無理なことを分かっている上で言ってくるので、面倒なことこの上ないです。

遅れているソフトウエアプロジェクトへの要員追加は、さらにプロジェクトを遅らせるだけだ

「第2章 人月の神話」より

この文言は聞いたことがある人が多いかと思います。有名なブルックスの法則です。詳細は、是非、実際に本を読んでいただきたいのですが、簡単にいうと、進捗が遅れてしまったプロジェクトに対して、新たに外部の要員を追加しても、追加した要員がプロジェクトの運営ルールや開発技法、ツールなどを理解するまで時間がかかり、さらに、追加した要員にそれらを教えてるために既存の要員の時間も奪われ、既存の生産性も落ちる。また、要員追加によりコニュケーションパスが複雑になる。このため、プロジェクトはさらに遅れる。というものです。

「ブルックスの法則」の検証
先日、紹介した「人月の神話」に書かれている「ブルックスの法則」について、初めて読んだ際にグッと来たので、この法則を掘っていきたいと思います。「ブルックスの法則」とは「人月の神話」の「第2章 人月の神話」という本の題...

実際の現場でもこのような状況になったことはないでしょうか。確かに、クラッシングやファスト・トラッキングというスケジュール遅延に対する対策手法はあり、PMBOKにも記載があります。ただ、現実的には、救済すべきプロジェクトで必要としているスキルセットを無視した要員が追加されることが多くないでしょうか。
クラッシングやァスト・トラッキングを成立させるには、救済すべきプロジェクトで必要としているスキルセットを保有している要員を追加させる必要があります。自社の人材育成や組織体系などを考慮した事業計画を広い視点で考える必要があります。
まずは、ブルックスの法則を理解して、無理や無駄のない計画を立ているようにしていく。というのが、一番、始めやすいのではないでしょうか。

読んだ感想

如何せん、40年以上前に初刊が刊行された本のため、本文中にでてくる具体例は古さを感じさせずにはいられませんが、記載されいてる内容は、今でもあてはまるものと思われます。

著者本人がIBMのOS360という汎用機の元祖みたいなOSの開発リーダを担務するという優秀なエンジニアの方のためか、若干、属人的な高度な能力を求めていると思われますところもあります。その一方、チームワークの重要性も述べております。

この本が執筆されてから時間はったていますが、記載されている内容は、効率的なシステム開発はどのように進めたら良いか。という問いに答える内容、もしくは気づきを与える内容になっています。
働き方改革と盛んに言われている今日、ソフトウエア開発でも、無理や無駄をなくすることが大事だと考えています。ソフトウエア開発に限らず、何らかの企画・開発をする仕事に携わっている方には、是非、読んでいただきたい本です。

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