EVMS(アーンドバリューマネジメントシステム)

システム開発

IT業界で、プロジェクトのマネジメントに関わったことがある方であれば、聞いたことがあると思います。「EVMS」は「Earned Value Management System」の略称です。

EVMSとは

「Earned Value(EV) : 出来高実績値」を基準にプロジェクトを定量的に管理していく手法です。

いわるゆ進捗管理の手法ですと、経過した時間、もしくは費やした時間をもとに、進捗や費やした費用を算出する。というようになります。

「EVMS」でも、実際に費やした時間を「Actual Cost(AC):実際のコスト」として管理します。これに加えて、前述の「Earned Value」と合わせて管理して行く手法です。

管理するにあたっては、計画値が必要になります。これを「Budget At Completion(BAC):完了時総予算」と「Planned Value(PV):計画値」で表します。各WBSのワークパッケージに対して、管理基準となる期間(日や週)に「Planned Value」を割り当てて、その合計値が「Budget At Completion(BAC)」になります。

プロジェクトが進むと計画値の差が出てきます。これを「Schedule Variance(SV):スケジュール差異」と「Cost Variance(SV):スケジュール差異」で表します。

また、プロジェクトの健全度を測る指標の一つとして、「Schedule Performance Index(SPI):スケジュール効率指標」と「Cost Performance Index(SPI):コスト効率指標」というものがあります。

これらの指標を求めることにより、「Estimate To Completion(ETC):残作業コスト予測」と「Estimate At Completion(EAC):完了時コスト予測」を算出することができるようになります。

他にもEVMSの用語はありますが、一般的には、以上の用語を覚えておくと通用するものと思います。表にまとめると以下のようになります。

指標名意味計算式
Budget At Completion(BAC)完了時総予算
Planned Value(PV)計画値
Earned Value(EV)出来高実績値
Actual Cost(AC)実際のコスト
Schedule Variance(SV)スケジュール差異EV – PV (プラスが良い状態)
Cost Variance(SV)コスト差異EV – AC (プラスが良い状態)
Schedule Performance Index(SPI)スケジュール効率指標EV / PV (1以上が良い状態)
Cost Performance Index(CPI)コスト効率指標EV / AC (1以上が良い状態)
Estimate To Completion(ETC)残作業コスト予測(BAC – EV) / CPI
Estimate At Completion(EAC)完了時コスト予測AC + ETC

EVMSを導入するメリット

一番大きく感じるメリットとしては、実際の出来高をベースに管理することになりますので、管理表上の数値と実態の数値を近づけて管理をすることができます。
例えば原価が100,000円の予算で4日間でできると見込んでいたワークパッケージがあり、期間が4日間あるので1日あたり25,000円分の予算を割り当てたプロジェクトがあるとします。2日目終了時点で40,000円の原価を費やし、30,000円の出来高を上げていたとすると、以下のような表になります。

項目1日目2日目3日目4日目合計値
Planned Value25,00025,00025,00025,000100,000(BAC)
Earned Value12,00018,000
Actual Cost20,00020,000
Schedule Variance-13,000-7,000
Cost Variance-8,000-2,000
Schedule Performance Index0.480.60
Cost Performance Index0.600.75 93,333(ETC)
133,333(EAC)

このようにしてみると、現状でどれだけ予算オーバをしているかを2日目終了時点を把握することができます。また、1日目から2日目にかけてCPIが0.60から0.75に改善していることから経験効果が働いていることが分かり、このワークパッケージは、「今後はこれ以上、悪化しないのではないか。」という予測も立てることができます。

このようにして、早期にプロジェクト終了時にかかる原価を予測することができる。というのが最大のメリットかと思います。これが分かると、プロジェクトが遅れた場合、どのような対応を、どのくらいの規模でとれば良いか。という判断を合理的にすることができます。

また、実際にEVMSを適用することにより、各メンバーのコスト意識が向上する。という副次的な効果も期待できます。

合理的な働き方改革に向けて

EVMSを実施するに当たって、各メンバーが「Earned Value」と「Actual Cost」を日々、記録するという負担をかけることになります。これを以って、余計なコスト(勤務時間)が増えると言うこともできると思いますが、進捗状況を正しくマネジメントすることにより、無理や無駄を減らして、合理的な対策を建てるということができるようになります。

私は、CPI値をスコアとして、ゲーム感覚でメンバーが取り組めるようにして、メンバーのモチベーションを維持し、効率が上がり、最終的には予算内でプロジェクトが完了するように取り組んできました。

そもそも、EVMSは、マネージャーやリーダーにとっても手間がかかることから敬遠されることが多いですが、精神論や根性論の対応ではなく、合理的な対応をとる為にも、一度は、取り組んでみることをお勧めします。

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